1089で遊んでみよう
まずは実際に任意の3桁の数字を書いてみましょう.
ただし,前から読んでも後ろから読んでも同じにはならないようにします.(例えば979はダメ,738はオーケー)
ここでは数を「834」として考えてみましょう.
(1) まずは桁を逆にして「438」とします.
(2) 次にこれら2数の大きい方から小さい方を引きます.834 – 438 = 396 となります.
(3) ここで新しい数の桁を逆にします.396 → 693となります.
(4) 最後に新しく得た2数を足します. 396 + 693 = 1089
どの数から始めても,最終的な答えは必ず1089になります.
疑い深い読者のために他の例もみてみましょう.次は「385」で考えてみましょう.
(1) 385 → 583
(2) 538 – 385 = 198
(3) 198 → 891
(4) 198 + 891 =1089
不思議ですね.また1089になりました.
(注意するべき点は一つ.常に3桁の数として扱うことです.340の桁を逆順にしたとき043とする必要があります)
1089の定理
この不思議な1089の性質は10進記数法ならではの特徴に頼っています.
任意の数abcで考えてみましょう.
この数abcというのは,実際には100a + 10b + c という意味ですね.
(1) (100a + 10b +c ) → (100c + 10b a)
(2) (100a + 10b + c) – (100c + 10b + a) = 99a – 99c
※(2)の数は99の倍数です.99の倍数はd9e(d + e =9)という形で表せます.
(3) d9e → e9d
(4) (d9e) + (e9d) = (100d + 90 + e) + (100e + 90 + d)
e + d = 9なので,
$$100(e + d) + 180 + (e + d) = 900 + 180 + 9 = 1089$$
となります.ここで重要なポイントは,
1,10進数記法であること.
2,99の倍数の性質に着目すること.
このように数学には数が魅せる魔術のようなものが沢山存在します.ぜひ探してみてください.